IPv4に次ぐバージョンであるIPv6は、IPv4が抱える拡張性やセキュリティの問題をプロトコルレベルで解消する技術として注目されている。ようやくIPv6を実装するOSも登場し、利用する環境が整いはじめている 本書ではKAMEプロジェクトのIPv6を実装しているFree BSDをもとに、IPv6の基礎知識やIPv6を使用したネットワークの構築、IPsecの使用方法について解説している。IPv6の基礎的な知識についてはifconfigコマンドの情報をもとにしたアドレス情報の内容の説明や通信形態の解説、IPv6アドレスの割り当て方式の解説を行っている。ネットワークの構築については2台のIPv6マシン同士のLAN構築の解説から始まり、DNS問題の扱い、sendmailを用いたIPv6での電子メールの設定とApacheを使ったIPv6対応のWeb環境構築の方法、そしてIPv4との共存するためのプロトコルトランスレータの設置の仕方が解説されている。最後にIPsecの利用としてIPsecの動作のしくみと認証・暗号化技術についての解説を行っている。実用的な設定事例を取り上げて紹介しているので、IPsecを利用したネットワークを構築する際に大いに参考になるだろう。付録として関連するコマンドの一覧が掲載されている点もありがたい。 Unix系OSでネットワーク構築をしたことがある人なら誰でもIPv6を利用することができるようになるだろう。IPv6を使ったネットワークを構築したい人におすすめ。(斎藤牧人)
専用機を用意して学ぶ (?) IPv6
他の入門書とちがって,本書は実際にコンピュータにコマンドをうちこみながら,IPv6 を IPsec を中心にまなんでいくことができる本である.さわってみてはじめてわかることもすくなくない.しかし,いま,さわりながらまなぶとしたら,Windows XP や Windows Vista をつかいたいひとが多数だろう.この本は KAME プロジェクトの IPv6 実装を前提としているので,読者は Free BSD をのせたマシンを用意する必要がある.Linux に IPv6 を実装した USAGI プロジェクトはこの本が出版される約 2 年前にはじまっているが,それへの配慮もない.したがって,かなり,つかいにくい本だということはいえるだろう.
実力に満ちた良著 IPv6+IPSecにも強い
この本は(失礼ながら)装丁がパッとせず、一見するとネットワークのことを知らない素人に向けて書かれた書籍のように見える。しかしながら、実態は全く違う。中身は重要かつ実践的なことばかり書かれた技術者向けの良著である。様々な事柄が図入りで非常に判りやすく、不足なく説明されている。 また、タイトルはIPv6とだけ銘打たれているが、IPSecについても広く深く言及されている。 現在、IPv6でのIPSecに関して論じている書籍が少なく、あっても十分な説明がないものばかりである。この中にあって、この書籍はIKEとの連携だけでなくIKEを使わない直接鍵指定についても、実例や問題点・注意点など共に大きく取り扱われている。 IPv6+IPSecが必要な人にとっては非常に重要な書籍であると言える。 技術書としては決して多くないこのページ数の中に注目すべき要点がこれだけたくさん明確に書かれている本はなかなかない。 もし、この本がもっと目立つ装丁であったのなら、この本によって助かる人も今よりずっと多かったのだろうが…。
アスキー
入門IPv6ネット―IPv6 Networks Basic Guide マスタリングTCP/IP IPv6編
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